水に映る月
 

「ん‥、ケイちゃんがチュしてくれたら起きる。」


まだ寝惚けた頭で、お布団に顔を埋めたまま、あたしは甘えて見せた。


けれど、彼は、あたしの頭をクシャクシャ撫でて


「ほら、早く起きな遅刻するやろ。」


って、言った。


あの夜みたく、抱きしめてkissして欲しかったのに‥。


「分かった‥。起こしてくれて、ありがと。」


「オレ、寝るけど、気ィ付けて行けよ。」


「うん。」


慧は、kissしてくれなかった。


 
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