水に映る月
∮12 死にたい
通り掛かった駅前で、ユーナさんと偶然に再会したシンは、彼女を拉致しようとした。
そして、失敗に終わった。
シンに車を廻せと指示されていた慧は、その時の様子を見ていない。
警察官が二人、来ていたらしいけど、警官が辿り着くより早く、シンは車に乗り込んだ。
「ケイ、オンナ呼べよ。ムシャクシャして気ィ悪いわ!」
シンに命令され、慧は、いつものように女の子を誘い出した。
異常な世界で、感覚が麻痺してしまっていた慧に、もう罪悪感なんて無かった。
彼は、迎えに行った女の子をシンのアパートに連れて行った。
そして、コンビニに行くと嘘を理由に、そのアパートを出た。