ETERNAL CHILDREN ~永遠の子供達~

「待ちなさい!! マナをどうする気!!」

 シイナが後を追う。フジオミが数秒遅れて続く。マナ一人を抱えているというのに、少年の速さは二人を凌いでいた。
「シイナ、君はあの子を知っているのか? 何だ、あの異様な姿は――」
 シイナは彼を見ようともしない。ただ前だけを見つめていた。その顔色は心なしか青ざめていた。
「実験体よ。まだ生きていたなんて――」
 忌ま忌ましげな呟き。
 走りざまに、シイナは廊下に備え付けられた非常時用のエマージェンシーコールをメインコンピュータに送り込む。彼らの前後で、両脇の壁から出てきた扉が廊下を仕切っていく。
 彼らの前の通路も仕切られていくが、シイナは手慣れた手つきで扉につけられたコンピュータパネルを操作し、前へ進む。
 フジオミはシイナに従い、ユウと呼ばれた少年とマナを追うが、途中奇妙なことに気づく。
 非常時には、通路を仕切る全ての扉とエレベータは自動的にロックされ、特別なコードでなければ開かないようになっている。だが、最初の扉以降、シイナが開けるより前に開かれた扉は、壊したふうもなく、真っすぐに非常階段へと向かっている。内部構造に詳しくなければ、こんなことはできない。
 これは事実だ。
 明らかにあの少年はここを熟知している。
 シイナは少年を実験体だと言った。

(しかし、一体何のだ。なぜ、そんな少年が、よりにもよって〈外〉からやってきたんだ?)

 このドームを離れては、我々人類は生きられないというのに。
 そんな疑問が頭の中を駆け巡る。
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