ETERNAL CHILDREN ~永遠の子供達~

 普段はめったに使わない非常階段をかけおり、シイナとフジオミは一階を目指した。
 一人で逃げるのとはわけが違う。少年はマナを連れている。出ていくとしたら、入ってきた通風口からは不可能だ。
 そして、それ以前にシイナはよくわかっていた。

(これは報復だ。自分に対する)

 だからこうして、追ってこいとでも言わんばかりに逃げている。
 一階へ着くと、奇妙な騒めきに満ちていた。外へ通じる扉の前には、少年がいる。
 そして、作業員であるクローン達は、それを遠まきに見ているだけ。
 無理もない。誰もこんな事態を予想だにしていなかったのだから。
「マナに傷一つでもつけたら許さないわ!!」
 シイナの叫びにも少年は無言だった。
 信じられないことに、ロックされたはずの扉を手も触れずに開け、外へ消えた。
「マナ!!」
 シイナが開け放たれた扉へとかけよる。
 吹きつける風は一瞬奇妙な渦を描いたが、すぐに止まった。
「――」
 そして整備された敷地の遥か彼方の草地にすら、シイナとフジオミは二人の姿を見つけることはできなかった。

「なんてことなの…マナがさらわれるなんて…」




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