ETERNAL CHILDREN ~永遠の子供達~

「――」
 堪えていた涙がまた溢れた。
 どうして哀しみは、いつも、こんなにも、溢れてくるのだろう。
 間違いだとわかっていても、この想いは哀しみと同じ強さで溢れてくる。
「ユウ…」
 胸が、痛い。こんなにも、痛い。
 縋りつきたいのに。
 抱きしめてほしいのに。

 想いの全てが、許されないことだなんて。

「マナ、泣かないでくれ…」
 感情を殺した声がもれる。
 だが、マナにはわかっていた。
 そうでもしなければ、ユウもまた禁忌を忘れて、マナを抱きしめたい衝動を押さえきれなくなることを。
 マナは涙を堪え、頬を手の甲で拭った。
「ごめんなさい。みっともないわね。泣いてばかりで」
「いいや。あんたは綺麗だ、マナ。とても、綺麗だ……」
 そっと近づいてマナの長い髪の一房を取り、ユウはくちづけた。
 愛しさを隠さずに。
 ゆっくりとその手は離れた。

「マナ。海へ行こう」

「え?」
 唐突な誘いに、マナは驚いた。
「明日、二人で海へ行こう。一日だけでいいんだ。何もかも忘れて、俺と過ごして。前みたいに、笑って過ごそうよ」
 かすかに、ユウは笑った。
 そんな切ない笑みを、マナはより一層愛しく思った。
 許されるはずもないのに。


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