ETERNAL CHILDREN ~永遠の子供達~

 なぜこんなにも、彼女だけが、特別なのだろう。
 愛せるものなら、いくらでもいたというのに。

(みんな優しくしてくれた。
 みんな大好きだった)

 それでも、愛せたのは母親だけだ。
 母親しか、愛せなかった。
 だから求めるのか、あの少女を。
 もうすでに、復讐のためですらなく、ただ彼女が欲しいから。
 彼女しか、もう愛せないから。

「ユウーっ、見てぇ、こんな大きな貝殻ぁ!」

 遠くで手を振る少女に、ユウは笑って手を振り返す。
 彼女を愛していた。
 誰よりも、強い想いで。
 自分はもう、こんなに強く誰も愛せないだろう。
 この少女以外、愛しいと思えないだろう。
 例えどれほどの人間が、再び自分の傍にいるとしても。

「ユウもこっちに来てみてぇ! 本当にすごいのよぉー」

「今行くよ」
 ユウは自分も靴を脱いで立ち上がった。
 そうしてゆっくりと海辺へ向かう。
 幸せだった。
 例え罪だとしても、まだ、愛せる自分が幸福だと理解した。

 彼女を愛する度に、心の内に沁みわたる、このやるせない泣きたくなるほどのあたたかな感情を、嬉しいと思えるから。



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