ETERNAL CHILDREN ~永遠の子供達~
「…ナ」
ユウの声に、マナは目を開ける。
心配そうに覗き込むユウ。
手を伸ばし、確かめた。
「ユウ」
木のはぜる音。
焚火があたたかに周囲を彩っていた。
風の当たらぬ場所に起こした焚火を前に、寄り添ったまま眠ってしまっていたのか。
「泣いていた。何か、恐い夢でも見たのか」
「ううん。おじいちゃんが、来たのよ」
「おじいちゃんが?」
「自由になって行きなさいって。全てのしがらみを断ち切って、ただ、あるがままに。そう言ったの」
マナは腕を伸ばしてユウにしがみついた。
抱きしめかえす強い腕を感じる。
この少年とともに生きると、自分で決めたのだ。
「遠くへ行きましょう」
微笑って、マナは言った。
「マナ――?」
「ここを離れて、もう誰もいない海の向こうへ行きたいの。ユウ、連れていって」
「本気なのか、マナ?」
「ええ」
ユウは身体を離し、不安げにマナを見つめていた。
「何があるかわからないよ。食べるものだって、ないかもしれない」
マナは笑って首を横に振った。
「あなたがいればいいの。だから、二人で行きましょう。海を越えて、世界の果てへ」
「マナ――」
幸福な未来を確信して、マナはまだ見ぬ世界を思った。
「あなたと見るなら、世界はきっとどこでも美しいでしょうね。そうして、二人で生きていくのよ。まだ見たこともない世界で、まだ見たことのない美しい色と、光と、たくさんの生命の群れを、あなたと見るの」