ETERNAL CHILDREN ~永遠の子供達~

「何でもいいわ。ユウが決めて」

 いつもどおりにそう言ったマナに、ユウは苛立たしげな表情を見せた。
「ユウ?」
「馬鹿じゃないのか、あんた!!」
 突然声を荒げたユウに、マナは身を強ばらせた。
「自分のことだろ? 自分が決めろよ、そんなこともできないのか!?」
 二人の会話を、少し離れて聞いていた老人が、間に入る。
「これこれ、ユウ。そんなに声を高くして言うこともないだろう。見なさい、マナが怯えている」
「だって、おじいちゃん」
「マナにはマナの、ドームでの生き方があったんだよ。それを理解しておあげ。自分の望みばかりを押しつけるのもいい方法とは言えんよ」
 宥めるようにユウの肩をたたいて、老人はマナを振り返った。
 潤んだ瞳はじっと床を見つめていた。
「さあ。マナもそんなに恐がらなくてもいいんだよ」
 マナは近づく老人の身体にしがみついてしゃくりあげた。
 老人はしばらくその背中を優しく撫でていたが、その後マナの身体を優しく離し、目線を合わせるように屈み込んだ。
「マナ、おまえさんも急に怒られたんでびっくりしたんだろう?」
 泣きながらも、マナは頷いた。
「だが、ここで私達といる以上は、おまえさんもここでのやり方を学ばなければならないよ。どちらがいいか、選ぶだけでいい。少しずつ慣れていくんだよ。わかったかね」
 老人のあたたかな感情が伝わる。
「ええ…」
 その日は、老人のとりなしで、何とかことなきを得た。
 どちらもまだ、子供だった。
 彼らが互いの環境を理解しようと努めるには、絶対的に経験値が不足していたのだ。
 それでも、理解し合おうと互いが努力すれば、歩み寄ることはできるのだ。
 そう、努力さえ、すれば。
 たとえ真の意味で、理解できないとしても。


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