ETERNAL CHILDREN ~永遠の子供達~

 フジオミはもう一度繰り返す。
「シイナ、許可を」
 シイナは強く唇を噛んだ。
「――好きにすればいいわ。私よりあなたに決定する権利があるのだから」
「結構」
 シイナの反応を楽しむように、フジオミは微笑った。
 彼に対する、憎悪に近い感情がわいたが、辛うじて、シイナはそれを表情に出さずにすんだ。
「なぜここへ来たの。あなたはこの計画に乗り気ではなかったはずよ」
 きつい口調にフジオミは軽く肩を竦める。

「君に会いたかったからだと言ったら?」

 シイナは表情を変えることもなく、じっとフジオミを見つめた。
 それ以外、何の反応もない。
 あきらめて、フジオミは吐息をついた。
 冗談の通じないことはわかっているらしい。
「――正直なところ、考えが変わったのさ」
「考え?」
「ああ。食わず嫌いはやめることにするよ。相手を知らなきゃ、好きになりようもないだろ。なるべくなら、相手にもいやな思いはさせたくないしね」
 シイナは、侮蔑の感を隠さずに嗤った。
「あなたに、相手を思いやる気持ちがあるというの? 自分のことにしか興味がないくせに。あなたにとって重要なのは、自分の楽しみだけでしょうに」
 だが、シイナの言葉にも、フジオミは気にしたふうもなく頷いた。
 それが事実であることを、彼自身が認めていた。

「だからこそ、楽しめるよう努力するのさ。せめて自分が不快にならない程度にね」




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