誘拐犯は…神様だったのです!

特別






―――――……
―――…


その日の朝方


まだ太陽が顔をだす少し前―…



ある部屋のドアが三回、リズムよく叩かれた





「紫音様、風神でございます」


「…あぁ」


主の声に促されるように扉を開くと、風神の瞳には眠っている凜に膝枕をされながら視線だけを風神に送る紫音がいた



「…お邪魔でしたでしょうか?」


「いや、そんなことはない」


身体をゆっくりと起こし、凜を見るとユラユラと船を漕ぐ彼女に苦笑いを浮かべそっとソファーに寝かせ自らの羽織りを彼女にかける



「そうですか。それと、久しぶりのご帰宅ですのに、屋敷の者に声はかけて欲しいです。紫音様。皆、紫音様が帰って来たと騒いでいました」


「あぁ、そうか…悪かった。急いでいたからな」


「急いで?花嫁に会いたいからですか?」


「…………」


風神のそんな言葉に、フッと笑い乱れた髪の毛をひとまとめにし風神に近付く



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