誘拐犯は…神様だったのです!




「なぁ、凜」


「は…ぃ…っ」


低く、無駄に色っぽい声


ず、狡いよ…普段は冷たい声のくせに…紫音さんは私に触る時はいつも…こうゆう風に色っぽい声で囁くんだ


「…凜」


「…うっ」

身体が締まるような、何かが襲っくるような…不思議な感覚に身体が動かないでいると


彼はそれをいいことに、押し倒したままゴツンと額をぶつけてくる


「凜」

「…う」


「私のものに、なるだろう?」

「…っ」

「怖くなんかない、私に任せれば…良くなるから」


チュと瞼にキスを落とされ、そのままギュウと瞳を閉じると


今度は唇に触れるだけのキス


「……ん」


し、紫音さんってば!


こ、こんなことをされたらどうかなっちゃうよ!

ただでさえ、心臓はあり得ないくらいドキドキしていて、息をするのもやっとなんだからっ


「あ…あのっ」

「緊張しているな」

「…え…っ?」


「顔が赤い、それに、心臓の音がよく聞こえる」


「………っ!?」


図星だ…紫音さんの言うことは、正しい。正しすぎて言い返す言葉がなくただ黙っていると


額を離し、彼は僅かに目を細めながら耳朶をいじる



< 457 / 616 >

この作品をシェア

pagetop