誘拐犯は…神様だったのです!





「そんなことはしない?そんなの、なんで分かる」


「なんでって…だ、だって私は…紫音さんを…信じてるから…」


「………」


「紫音さんが…好きだから…信じてるんです…」


「…………」


私なりの精一杯の言葉をぶつけると、紫音さんは数秒黙りこみ怪しく笑う



「信じてる…か…なら、それを裏切られたらキミは私を嫌うな…それなら嫌われるためにも…」


「………っ」


再びそっと首を触りその手に僅かに力が入る


「………ん」


「…キミを少し傷付けようか」


「…………っ」


「…なぁ…凜…」


「う……んっ」


「今から…私が人間を憎む理由を見せよう。きっとそれを見れば…キミは…私とはいられなくなる。人間であり、優しいキミには耐えられない」


「なにを…言って…んっ」


その瞬間、紫音さんの手が私の口を塞ぎ息が出来なくなる


「……んんっ」


「見ればいい…私の………罪の証を…」


「………っ」



そう呟いた瞬間――…



バサッと何やら不思議な音が部屋中に響き


ヒラッと私の手に何かがふれる


なに、これ…以前にも触ったこののある感触に


苦しさの中…



そっと、目を開けると―――……




















「……え……?」


「…………」



私の目には、紫音さんの背中に生える大きな黒い翼


そして、その翼の片方が……大きく欠けていて――……



切なそうに顔を歪める紫音さんが目に写った―――…













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