恋と上司の甘い相関関係
「こんにちはー…?」



薄暗く静まり返る無人の店内。

だけどほのかに甘い香りが鼻をくすぐる。


人の気配を感じてガラス越しに少し中の様子を伺うと、何かを作っている平岡さんの姿を見付けた。



すごい、な──…


クリームを一つ一つ丁寧に素早く絞っていく平岡さんの瞳は真剣で少しドキリとする。


息を呑むように職人技をまじまじと見ていると、平岡さんがあたしに気付いてニコッと微笑んだ。



やば……仕事しに来たってのに何じっくり見てんのあたし!


我に返って軽くお辞儀すると、平岡さんは口パクで『ちょっと待ってて』と言い、両手を合わせて“ゴメン”のポーズをした。


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