久遠の花〜 the story of blood~

 月神君だけでなく、他の人にまで迷惑かけちゃうなんて……。

 申し訳ないやら恥ずかしいやらで、私は一気に、体温が上がっていくのを感じた。


「ほ、本当にすみません」

「――気にしなくていいから」


 やわらかな声がしたと同時。頭にそっと、重みが増した。


「?……あ、あのう」


 チラッと視線を上げて見れば、月神君はふっと、口元を緩めた。


「君は真面目過ぎる。――もう、この話は終わりだ」

「…………」

「――日向さん」


 返事は? と催促され、私は少し間を置いてから、頷くだけで返事を返した。


「じゃあ、そろそろ行こう。大丈夫か?」

「あ、はい。もちろん」


 それを聞くなり、月神君は素早く私を抱え、窓の外へと身を乗り出す。


「急いで行くから、目は閉じた方がいい」

「は、はい」


 返事を返すなり、私はぎゅっと目をつぶった。

 途端、頬や体に、風を感じた。強く感じるそれに、すごい速さで駆けているというのが体感できる。





「――着いたぞ」





 目を開けて見れば、そこは普通のマンション。周りはとても静かで、ちらほら自然がある住みやすそうな場所だった。
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