久遠の花〜 the story of blood~



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「さぁ――賭けをしよう」





 あいつは言った。

 彼女が自分のモノになるか否かを見定めようと。


「言っておくが、本当に呪いがあるのは命華だ。それが最も強力に現れるのが――赤の命華だ」


 しかし、やつはそれがどんな呪いなのか言わない。本当は知らないんじゃないかと思ったが、話を聞くにつれ、赤の命華が不幸になるのだけは理解した。


「このままでは……姫は、確実に死ぬ。
 覚醒の気配があるが、力の加減がおかしい。おそらく、前に【影】とでも接触したのだろう。姫の中には、力を食い殺すモノが蠢いておる」


 だから手を打たねばな、とあいつはオレに短剣を渡した。





「それで――姫の心臓を貫け」





 一瞬、短剣を握った手が震えた。

 怒りで刺してやりたいと思っているのに、体は、思うように動いてはくれない。ただあいつと視線を合わせ、話を聞くしか出来ないでいた。
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