久遠の花〜 the story of blood~
「あぁ、大丈夫だ。それに、私が産んだこともあってか、術の耐性がある。
――信じろ。必ず、お前も子供も助ける」
しっかりと、シエロの手を握りしめ誓う蓮華。それにシエロは、そんなのじゃダメよ、と付け足す。
「レンだって……本当は、助けたいんでしょ? 自分の望みも、ちゃんと叶えてくれなきゃ」
「――――くだらない」
それは、とうの昔についえた思い。
自分が初めて、感情というものをむき出しにしたそれは、今はもう、届かないことだと知っているのに。
「私はもう――望まぬ」
立ち上がると、蓮華は何も言わぬまま、部屋を後にした。
「違うのに……。でも、約束だから」
ごめんね、と呟きながら、シエロはゆっくり、眠りへ身を任せていった。
◇◆◇◆◇
介抱してくれた女性、エメという人から、色々と話を聞いた。今置かれている現状と、周りの現状。
そして、【これ】の性格と人間関係を聞いた。
今いるこの場所は、彼女の家の一室らしい。
「とにかく、自分のことを物みたいに言うのはやめましょ?」
「モノみたいというか――」
実際、この表現がしっくりくるのだけど。