久遠の花〜 the story of blood~


「――すみません。これから気をつけます」

「ま、オレだけに見せてくれるっていうなら大歓迎だけど。
 ――こーいうのは、大事な人限定」


 覚えておきな、と言い、ぽんっぽんっ、と頭を撫でられる。

 わからない言葉もあるけど、とりあえず今は服を着よう。動けないので、雅に頼みクローゼットから適当に選んでもらったものに袖を通した。


「そろそろ休みな。契約の疲れだけじゃなく、血も減ってるんだし」

「さっきよりは、大丈夫のようです。――雅は」


 血が、欲しくないのだろうか?

 気になって聞けば、雅は間の抜けた声をもらした。


「だって、今もらったりなんてしたら……」

「少量であれば、ですけど。あとは寝るだけなので、気を失っても大丈夫ですから」


 発作が起きる前に、少しでも血があった方がいいんじゃないかと思い提案すると、雅は目を丸くしていた。







「――――お人好し」







 小さく発した言葉は聞こえず、なにを言ったのかと思えば、





「遠慮なく吸っちゃうけど――ホントにいいの?」





 妖艶な笑みを浮かべ、雅が間近に迫っていた。


「少量だというのを守れるなら」

「わかってるって。んじゃ、やわらかい部分を――」


 首元にくると思い、噛まれていない方の首を見せる。――しかし、感触があったのは、首とは別の部分。
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