久遠の花〜 the story of blood~


「――――っ、ひゃ!?」

「あ、感度はいいんだ?」


 再び、噛まれる感覚がする。

 首にくると思っていたのに、噛まれたのは耳たぶだった。


「ちょっ、……な、にっ」


 血を吸うだけでなく、くちゃっという音と共に舌の感触がする。徐々に血を吸うことより、そちらの方が主になっている気がする。


「み、やびっ……遊ばない、で」

「あははっ。ごめんごめん」


 ようやく、雅が離れた。

 なんだか余計、疲れが出てきたような気がする。

 目蓋が重くなり、話すのも億劫になってきた。


「んじゃ、そろそろ帰るね」

「気を、つけて――…」


 意識が遠退き、まともに挨拶ができない。そんな自分に、雅は再び頭を撫でながら、なにか言っている。







「アンタのこと――嫌いじゃないよ」







 言葉も聞き取れなくなり、意識は、そこで完全に落ちていった。
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