久遠の花〜 the story of blood~
/3
/3





『全く――無茶をするな』





 あの声が聞こえる。

 彼の声が聞こえる時は、いつもこの空間。水の中のような、ゆらゆらと浮かぶ世界にいる。

 なんのことかと思えば、声は答えてくれた。





『お前にその感情が無くとも、その身に刻まれた呪いが動くかもしれないというのを忘れるな。その行為は――神聖なる誓いだ』





 神聖な――誓い?





『それはお前にとって――命を宿しかねない』





 命を――宿す?





『ここに存在するのは、全てを消す為。これ以上日向美咲を再現するな。でなければ――』





 そう言われても――。

 これまでの存在を模倣し、終わりまで導くのが自分だというのに。





『終わるその時――周りに呪いが働く』





 ――――――――――…
 ――――――…
 ―――…


 ゆっくり目蓋を開ければ、見えたの木目の天井。
 もうここに、彼の存在は感じない。
< 373 / 526 >

この作品をシェア

pagetop