久遠の花〜 the story of blood~
「貴方にとっては、いつまでも子どもなんですね」
「実際子どもであろう? 私とは桁が違う」
こうして話すことが出来るのもあと僅か。どちらが先に終わりが来るかはわからないが、互いにそのことは感じていた。
「いざとなれば、己の目的を優先しろ。私が支配されたからといって、戻そうなどとはするな」
「わかってますよ。
彼の者、レフィナドの望みが叶えられるよう――」
呟くと、エメはようやく、この場から立ち去った。
一人屋敷に残ったディオスは、再び箱に視線を向ける。
「それを独占することなかれ。
それを崇めることなかれ。
しかし――それを殺めるは、最も罪深き行いなり」
流暢に語るそれは、まるで昔から聞かされていた子守唄のように。
繰り返し歌い、ただまっすぐ、箱に視線を向けていた。