久遠の花〜 the story of blood~
「それも、先見によるものですか?」
「見なくてももわかりますよ。だって、あなたはずっとそばにいて、彼はいられない。いくら頭で理解していても、多少なりとも嫉妬はしているんじゃないかと。――では、私も行きますね」
「本当に……それしか無いのでしょうか? せっかく会えたというのに、これではあまりにも」
「いいんですよ。
ただ――元に戻るだけです。私は箱に戻り、彼は子どもと過ごす。今までと変わらない日々を過ごしすだけなんですから」
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「――――どうした?」
「これから、箱を戻す為に三人が来る。だから、貴方は手下を引き連れて、何処か行ってて下さい」
「これを手下と呼ぶか。――連れて行けるのは、一部の影のみだ。それ以外は、お前たちでどうにかしろ」
「わかってますよ。――箱を戻したら、貴方はどうすんですか?」
「お前こそ。――もはや、肩腕はこちらのモノではないくせに」
「おあいにくさま。これでも生きることは諦めていませんので」
「ほう。いい度胸をしているではないか」
「ここにいたら、嫌でもそーいう性格になりますよ」
「随分と言うようになったものだな。
――箱は、洞窟の奥に運べ。この場から離さねば、あの時と同じことが繰り返される」
「空は黒をまとい、光も届かぬ世界。
大地は枯れ、生き物が死にゆく世界。
前者が三日、後者も三日。そして――最後は、白い光が埋め尽くす世界」
「現段階で、空は微かに色づき始めている。まだ時期ではないが、要因になるものは排除するにこしたことはない」
「そろそろ、三人がこの世界に来るはずです。――お願いしますよ、レフィナド」
「お前の方こそ、影なんぞに殺されるなよ――エメ」