久遠の花〜 the story of blood~
「エメさん。二人は今まで、殺し合う関係だったので――」
見兼ねた桐谷が声をかけると、エメは雅の手を取り、叶夜の手を握らせた。
「はい、これでもう終わり。二人は仲良し!――いいわね?」
「「…………」」
「へ・ん・じ!」
ぎゅ~っと、二人の手の上からエメが握る。思わず苦悶の声をもらす二人に、エメは尚も聞く。
「二人とも~。お返事は?」
「「は、はい!」」
「うん、よろしい。それでこそ、私の可愛い家族っ!」
二人の首にしがみ付き、笑顔を見せるエメ。そんな姿に、二人の表情は和らいでいた。
「――そろそろ、移動しましょうか」
ようやく二人から離れると、ここからは自分が案内すると、エメがかってでた。
「場所はディオスの屋敷ですが、普通に行ったのでは、影と鉢合わせます。ですから、道案内は私に」
「それはいいですが、戦闘になった場合は――」
「自分とミヤビが動けばいいのではないですか?」
「ダメよ。特にノヴァは、あっちに着くまでムダな戦闘は避けて。箱は貴方しか持てないんだから、何かあったら困るもの」
「じゃあさ、エメとヒカルさんが先頭で、後方がオレたち。戦闘する場合は、オレとヒカルさんが動く。どーしてもって時にキョーヤ、ってことでいいんじゃない?」
「いえ。今回は、出来るだけ私が引き受けましょう」
「そんなことしたら、ヒカルさんに負担が――あっ」
気が付いたのか、エメは納得した表情を浮かべた。