久遠の花〜 the story of blood~


「アンタら、自分の子どもに何させてんのよ!?」

「こんな化け物が子ども? ははっ! 笑わせてくれるのう」

「ただ己の血を使って創った――それだけではないか」



 グラスにワインを注ぎ、優雅に語る重鎮。彼等にとって、これはただの遊戯。単なる暇潰しの一つでしかない。


「我々の相手をしろ。そうすれば、もっと長生きが出来るぞ?」

「誰がそんなことっ!」

「楽しくやろうではないか。狂楽に溺れるのも、中々いいものだ」


 高笑いする面々に舌打ちすると、エメは左腕を使い、地面ごと豪快に敵を吹き飛ばした。


「本当……腐ってる。玩具として使うだけ使って、壊れたら実験台とか」


 エメが睨みつけているのは、ワインを飲んでいる重鎮。個人的恨みもあるのか、その者に向ける視線は特に鋭かった。


「この子たちは物じゃない! 神にでもなったつもり!?」

「何を言うかと思えば。――実際、【あの方は神】そのもの。従わないなど、気が振れているとしか思えない」


 グラスを放ると、男は近くにいた子どもを地面に押し付ける。

 ――ぐちゃっ。


「っ!?……なに、して」


 エメの位置からでは、子どもが何をされているのか見ない。

 ――ぐぶっ。


「やめなさいよ」


 しかし、血飛沫(ちしぶき)や呻き声ならわかる。

 ――ざしゅっ。


「やめなさいって言ってるでしょ!?」


 飛び上り、男に向かって蹴りを放つ。

 別の子どもに手をかけようとするのが目に入り、エメは重鎮である男の首をへし折った。
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