久遠の花〜 the story of blood~
「うちのがごめんね。焼いてるだけなんで、気を悪くしないで?」
「オレは別に。嫌われるのは慣れてる」
「なら安心。でも、契約は必要になると思うから、そのつもりで~」
「何をしているんです。移動しますよ」
使い魔に急かされ、エフと叶夜は足早に歩き始めた。
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空は黒をまとい、光も届かぬ世界。
大地は枯れ、生き物が死にゆく世界。
前者が三日、後者も三日。
そして――最後は、白い光が埋め尽くす世界。
この世界における終末の預言。これは、過去に現実に起きた出来事だが、最後まで預言通りのことが起きる前に、シエロがそれを防いでいた。今回もそれぞれがそのつもりで動いているが、思ったより進行の早いこの現状に、苦戦を強いられていた。
「ったく……悪趣味ね!」
エメは吐き捨てるなり、目前にいる敵を蹴り倒す。
彼女が相手にしているのは、つぎはぎだらけのモノ。ヒト型をしているが、身体能力は暴走した雑華以上――つまり、化け物級というわけだ。そんなのがうじゃうじゃいるだけでも面倒なのに、更に王華の重鎮が数名、円を描くように囲っている。だが、自分たちは戦わずに高みの見物。ヒト型にやらせるだけで、エメが戦う様を、舐めまわすような視線でニヤニヤ眺めていた。