久遠の花〜 the story of blood~
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ぽつぽつと、一定のリズムで落ちる雫。光が届かないここは洞窟。その中を一人、蓮華は歩いていた。
「――――ここか」
辿り着いたのは、淡く、青白い光に包まれた空間。周りの岩は、鏡のような輝きを放っている。――しかし、そこに蓮華の姿は映し出されてはいない。奥に進むと、凹凸の無い均一な岩が現れた。
すると、蓮華は首に下げていた物を外し手に巻き始めた。手の平の中央に石がくるように巻くと、その手で岩に触れた。
途端、ゆらゆらと光り出す岩壁。しばらくすると、そこに男の姿が映し出された。
『何を――知りたい?』
「誰も傷付けず、この現状を納める方法だ」
『既に、赤の命華が箱を封じたのでは?』
「それは数千年も昔だ。今は、別な者まで動いている」
『別なモノ?――成程、貴女の思考を読み取るに、長の中に異分子がいると?』
「そうだ。長の中に、代々何かがいるのは知っている。だがあれは違う。本来、長ともう一つ――別の意思のようなモノがあるはずだ。けれど、あれにはそれと別のものを感じた。方法があるなら早くしろ。預言は最終段階だ」
『そこまで来ていたか。だったら――その異分子を排除すればいい。長の体に残っている魂。本来の体の持ち主である長を呼び起こし、内側から攻撃する』
「簡単に言ってくれる。ほとんど痕跡は無くなってきているというのに」