久遠の花〜 the story of blood~


 ◇◆◇◆◇


 『 』から、色のある空間に変わる。そこには、様々な〝思い〟が存在していた。

 ――でも、その思いを〝思考〟している存在は無い。





『――――見付けた』





 どこからか、音が聞こえる。


『諦めるの? ここはまだ、あっちと繋がってるよ』


 あっち? つながってる?

 よくわからない音が浸透する。


『思い出して――ここは君のいる〝世界〟じゃない』


 せかい……?


『そう。君は、みんなを護りたいんだろう? だったら――こんな場所にいたらいけない。体は使えないけど、今なら〝意思だけで干渉出来る〟はず』


 なにかが、周りを包んでいく。


『これ以上は、君の意思次第。忘れないで。君には、叶えられない願いはない。今までたくさん犠牲にしてきたんだ――そろそろ、反撃しても罰は当たらないよ』


 眩しい光が覆う。





 最低限の記憶。

 最低限の感情。





 流れ込むのは、選りすぐった素材。

 この世界は、まだ壊れちゃいけない。





 だから……もう一度、戻らなきゃ。


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