久遠の花〜 the story of blood~

「あれはこちらで対処する。――叶夜、お前は美咲を探せ」

「? 探せと言われても」


 美咲は、目の前にある花の中心にいる。蓮華さんにもそれは見えているはずなのに、何故そんなことを……。


「華鬼の長、あなた気付きましたね?」

「当たり前だ。私は箱にも入ったのだぞ? 厳密に言えば、お前のことも理解している」

「ありゃ、それもですか。こっちはついさっき自覚したってのに」

「こちらはこちらの情報があるからな。お前たちも、払うのを手伝え」

「わかってますよ。こっからは叶夜くんしか出来ないですから」


 結界から出る二人。会話の意味が分からず、オレはその場で呆然としていた。







「――――うまくやれ」







 何か呟くと、使い魔はオレを睨む。


「お前に、本当にそんなことが出来るなら……必ず助けろ」


 そんなの当たり前だ。だが、どうやればいいか分らない……。

 オレは蓮華さんのように、魂に詳しいわけじゃない。特化しているのは壊すこと。目の前にある花から美咲を引き離せと言われる方がオレ向きだろうに、形の無い、ましてや見えない魂を探すなんてこと、何故オレにやらせるんだ?


「よく思い出すことだ。あの方や華鬼の長。そして――過去に主と交わした言葉を」


 過去に交わした言葉……ダメだ、ますます分からないっ。

 混乱する思考。なんとか落ち着こうと自身に言い聞かせ、順を追って思い返すことにした。

 蓮華さんは、体はあるが魂が無いと言っていた。それから、魂が無ければ肉体は維持出来ないと。なら早く探さなければ、魂があっても戻るべき体が使い物にならなければ無意味となってしまう。

 少年は確か……ここは別の領域、創造界になったと言っていた。だから長は体を必要としなくなったらしいが、なら今、あの血を操っているのは……。







「――――意識、だけ?」







 操っている大元。目に見える肉体は無いが、力が働いている。だとしたら、長の魂がここに存在しているということになる。
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