久遠の花〜 the story of blood~


「動物と話たりするのは異常なのっ!」


 そんな……よろこんでくれたじゃない。

 村のみんなも、ボクをすごいってほめてくれたのに。


「それだけじゃないっ。お前は心が読めるだろう! 悪魔の証拠だ!!」


 ボクにだって、どうしたらいいかわからないんだ。みんな、思ってるのと言葉にするのが違ってるから、なんでって聞いただけだよ?

 じりじり、みんなが距離をつめてくる。ボクを悪魔とかバケモノって言うけど――今のみんなのほうが、よっぽど怖いよ。


 ――ザンッ。

 なにかが、切れる音がした。

 でも、ボクはいたいって感じない。他の人がいたがる声もしないから、なんでだろうって思ったら――ふわり、誰かに抱えられた。

 ボクを叱る声は消えて、代わりに、やさしい声がボクに話しかけた。


「――大丈夫?」


 そう言ったのは、知らないお姉さんだった。


「約束を破りましたね。自分の子を、それも村中で殺そうなどど――」


 急に、みんなは慌てていた。

 お姉さん、えらい人なのかなぁ。


「だ、だってっ。その子、おかしいんですもの!」

「おかしいのはあなたです。自分で望んだはずですよ? 秀でた能力を持ってほしいと」

「そんなの頼んだ覚えはっ」

「これは、あなたが望んだからそうなったのです」


 なにを言われても、お姉さんは堂々としている。


「私はあくまでも、あなたが丈夫な子を産めるように力を与えただけ。確かに、多少は力が強いなどの効果はありますが――夫婦であるあなたたちが望んだから、この子はその力を持って産まれたに過ぎないのですよ?」


 その言葉に、みんなは動揺しはじめた。話はよくわからないけど、お姉さんがボクをまもってくれているんだっていうのはわかる。
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