久遠の花〜 the story of blood~
久遠の花
【久遠の花】


 あたりはもう真っ暗。

 さっきまであった夕日は消えて、夜が世界をおおっている。





「――――はっ、はっ」





 ボクは走っていた。後ろを気にしながら、何度も何度もふり返りながら。





「はっ、、、がっ――ぅ」





 息の吸いかたがわからなくなるほど、ボクは夢中で走っている。


 ――遠くから、遠吠えのような声が聞こえる。ボクを殺そうと、みんなも必死になっているんだ。





「――――見つけたぞ!!」





 もう逃げ場がなくなって、ボクは泣きながら、どうしてこんなことをするのか聞いた。


「お前は人間じゃないっ。バケモノだ!!」


 ボクのおとうさんが言う。


「悪魔の子は、生きてちゃダメのなのよ!」


 ボクのおかあさんが言う。

 みんなとボクと、なにが違うって言うの?

 見た目も同じだし、言葉だってわかる。今まで、そんなこと言わなかったじゃない。
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