久遠の花〜 the story of blood~





 ――こんなに長く歩いたのは、いつぶりだろう。





 疲れて歩けないって思うのに、足はまだ、勝手にどこかを目指し歩いて行く。どんどん進むにつれ、あの花の匂いが強くなると思えば――目の前に、一面の花畑が姿を現した。





「この、場所……」





 真っ白な花と青い月。なぜか懐かしい気持ちがわいて、私は〝なにか〟を探していた。

 〝ここに来たら――いいことがあるわ〟

 確か、ここでおばあちゃんはそう言った。

 〝その時の貴女にとって、とてもいいことが――ね〟

 歩きまわっても、おばちゃんが言ういいことは見つからない。でも、ここには〝なにか〟があるはずだと、核心のようなものが、私を突き動かしていた。


 強い風が吹き抜ける。花びらが舞う中、私は視線の先に、〝なにか〟を見た気がした。





 ? あれは――人?





 風が止むと、誰かの姿が見えた。でも、その人の姿はふわふわして、なんだか、陽炎のように定まっていない。


 ――ふと、その人と目が合った。月と同じく、綺麗な青い瞳を持ったその人に、私は目を奪われ動けなくなった。





 微笑みながら、その人は近付いてくる。

 私が探していた〝なにか〟。それはきっと――。





 満開の花に囲まれ、私はまた夢を見る。

 いつも、どこかで感じていたそれ。

 その答えが、ようやく訪れた。




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