久遠の花〜 the story of blood~




 この人たち……誰、なの?





 神妙な面持ちで、二人はなにかを話している。顔や話の内容まではわからないけど……なんだかそれは、とても大切なことのように思えた。


「…………なん、なのっ?」


 尚も続く痛み。思わず両手で頭を押さえ、私はその場にうずくまった。

 その間にも、断片的に見える景色。でも、覚えのあるものは見えなくて、全てが初めて見るものばかり。なにを意味してるかなんてわらないまま、私はただ、この痛みが治まることだけを願っていた。


『いいのか? このままじゃあ、お前はまた■■ことに』

『それに賭けるしかないの。これは、■■から決まっていたことだから――私は、■■■を継いでいるから』

『だからと言って……こんなこと』


 決まってた?

 それに、継いでるって……。

 どういうことなのか知りたいのに、肝心の部分になると、もやがかかったみたいに聞き取れない。

 わかるのは、二人の表情と周りの景色ぐらいで。

 今にも泣き出しそうな女性を見ていると、こっちまで泣いてしまいそうな気分になる。胸が苦しくて、もやもやして……言いようのない感覚が、体を包み込んでいった。





「――ミツケ、タ」





 どこからか、二人とは別の声がする。

 途端、それまで見えていた光景は消え、辺りはいつも見ているのと変わらない町並みが目に入った。




「――ミツケ、タ」





 まただ。

 今度は、はっきりと聞き取れた声。周りを見るも、それらしいものは見つけられず、誰もその場にはいなかった。
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