wild poker~ワイルドポーカー~

その瞬間、薄暗かった空が静かに光りに覆われ、遥か彼方から《朝》がやって来るのが見えた。

そんな光景を眺めたまま、フラフラと歩き出す。

……眩しい《朝》を迎えに行く様に。

よく知っているその道を、次第に昇っていく太陽に向けて進んで行く。

……これで終わった。

俺の、父さんの、アイツの……長い、永い《悪夢》が覚める。

そんな事を考え、空を見上げたまま、歩き続ける。

でも何故だか涙が止まらなかった。

溢れる様に涙が溢れ出し、それは俺の頬を伝い落ちる。

この涙が一体何の涙なのか。

それは今の俺には分からない。

でも涙を流しながら見上げる空は悲しい程に眩しくて、そしてそれは酷く……優しかった。
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