せ ん せ い
「だから、姉で……」
「え、みょ、苗字が違…」
「彼女、結婚してます」
「……聞いてない」
「言おうとしたらアナタが遮ったんでしょうよ」
『あぁ、それは…』
『……志衣奈さん、私の声聞こえてます?』
先日の、自分が遮った彼の言葉を思い出すと。
改めて、あの時わたしは冷静さを失っていたと気付かされた。
先生の言葉を全力で無視するほど。
「…ごめんなさい」
「……まぁ、別に良いですけど」
素直に小声で謝ると、嘲笑に近い笑みを浮かべて鼻で笑う彼。
先生が好きだからとはいえ、感情的になりすぎていた自分に心の底から反省した。
「志衣奈さん」
いつもの無表情に戻った瞳に、再び自分の姿が映る。
「あれから色々と考えた、私の話を聞いて貰えますか」
前々から思っていたこと。
彼はわたしに、基本的には敬語で話す。
だけど下からモノを言っているはずのその口調には、いつも冷静さと重みがあって、強かった。
深く頷くと、彼は少しだけ口元を緩め、口を開く。
「私、女嫌いなんですよね」
な ん で す と 。