魔女っ娘OL☆SOS
「あ、願いの欠片……」
 先ほど見かけた”探し物”へと目を向けようと慌てて起き上がったが、見つけた時点ですでに暗闇の中に”探し物”の体は三分の一ほど溶けていたため、逃げ切られたのだという事がすぐにわかった。
「せっかく見つけたのに、なんで捕まえなかったんだ!」
「だって、あんたがちゃん付けて呼ぶから、反射的に」
「反射的に動くなら、もっといい方向に使ってほしいね! 全く役に立た――がふぅ」
 二度目の火花。
 今度は先ほどよりも深く刺さった気がする。だって、目の端にタラリと垂れてくる赤い物が見えるから。
「協力してやってるのになんだその言いぐさ」
「はい、すんません」
 仁王立ちで彼女の様相はまさに悪鬼。しかし、そうは思ってももう口には出さない。口に出したが最後、この痙攣以上の何かが身に起きそうな気がするからだ。
「気。気を取り直して。あれをもう一度探し出さないと」
「わかったわよ」
 ぶすくれた表情のまま彼女が頷く。一応はまだ協力的なその姿に内心ほっと胸を撫でおろす。
 俺は冷たいアスファルトの上から身を起こして先ほどと同じ位置――彼女の胸元へと戻る。
「さぁ! 行こうか!! あ、くしゃみするのはいいけど今度はひっかけないでくれよ!!」
「じ……自分で飛べ! 怠慢ヒヨコ!!」
 かこーん。と小気味の良い音が響きそうな勢いで、彼女はロッドを使って俺を天高く打ち上げた。


 今日中の捕獲は無理っぽいな。
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