密会は婚約指輪を外したあとで
「まだ会ったばかりだけど。俺、なゆちゃんのこと気に入ったから。俺のところに永久就職っていう手もあるよね」
「あ……、はい」
私は半信半疑になりながらも、彼の真っ直ぐな瞳に吸い寄せられ、深く考えずに頷いていた。
もしも、取り柄のない私を好きになってくれたとしたら。
一馬さんみたいな優しそうな人となら、本気で結婚を考えてもいいかもしれない。
こんなチャンスは滅多にないはずだから。
*
一馬さんと連絡先を交換したあと、私たちはロビーで別れた。
ホテルを出れば、外はすでに闇が落ちている。
上着を持ってきていなかったので、ひんやりと肌寒い。
タクシーで帰るか地下鉄で帰るか迷っていると──
円柱にもたれるようにして立っている、すらりとした体形の男の人が目に入った。
その人は、さっき出会った一目惚れの彼のように見えて……
ドクン、と心臓が軽く飛び跳ねる。
まさか、運命の再会!?