コスモノート

Scene① いらないものを売る店の話

どこかの通り。

車道と歩道が区別されていて、歩道は広い。
そこでは何組かのヘヴンアーティストがパフォーマンスをしたり、何人かの若き芸術家たちが自分の作品を並べて売っている。

車椅子に乗った女性が通りかかる。一人の女の店の前でとまる。この女の売っているものは、他の若き芸術家と思われる若者たちが売っているものに比べると明らかに異質だった。

がらくた。不用品。処分したいもの。

が並べられているようにしか思えなかった。
どんなによく見てもそうとしか思えなかった。

『なんかほしいのあったらもっていっていいよ』

特にほしいものがあるわけではないからこまった。
持ち合わせが無いといっても、『お金いらないから』という。
これから病院に定期健診にいくところだからあまり荷物になるものはいらないというと、『じゃあこれ。』
といって壊れた男物の腕時計を差し出した。よくよく見ると全部男物のようだ。

困っていると、ふと、女の首にかかっているネックレスが目に入った。
銀のチェーンの先には銃の弾がついている。

『それ、下さい。』

車椅子の女はそのネックレスをほしがった。
店の女は
『みんなこれ欲しがるな』
と言って、首からその弾をはずし、

少しの間、その弾を見てから 車椅子の女にさしだした。

車椅子の女は店の女から銃の弾を受け取った。
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