One Night Lovers
ケイゴの部屋は別館にあった。本館の私たちの部屋に比べると狭いが新しい。ベッドとちょっとした机と椅子、そのどちらも完全に一人用だ。
どうしようか、と立ちすくんでいると後ろから抱き締められた。ベッド脇のスタンドが淡い光で薄暗い部屋を照らす中、私もケイゴもしばらくそのままでいた。
「ふとしたときに泣きそうな顔をしていて、遊園地にいるときからルリのことがずっと気になってた」
耳元にケイゴの吐息がかかり、頭の隅っこが痺れるような感覚になる。
「私、そんな顔してたんだ」
「たぶん、トシも気がついていたと思う」
「……どうして?」
「元気がないコのことは誰でも気になるよ。それがルリみたいにかわいいコなら尚更。ネネちゃんがトシを誘わなければ、トシはルリを口説いていたと思う」
背後から覆い被さるようにしてケイゴが支えてくれているのをいいことに、私は首をのけぞらせて頭を彼の胸に預けた。
「でも、私が一番嬉しかったのはケイゴの言葉だよ」
上から私の顔を覗き込んできたケイゴはいつの間にか眼鏡を外していた。
優しい眼差しが私の視線を捕らえて放さない。
「トシには悪いけど、俺はルリが欲しい」
どうしようか、と立ちすくんでいると後ろから抱き締められた。ベッド脇のスタンドが淡い光で薄暗い部屋を照らす中、私もケイゴもしばらくそのままでいた。
「ふとしたときに泣きそうな顔をしていて、遊園地にいるときからルリのことがずっと気になってた」
耳元にケイゴの吐息がかかり、頭の隅っこが痺れるような感覚になる。
「私、そんな顔してたんだ」
「たぶん、トシも気がついていたと思う」
「……どうして?」
「元気がないコのことは誰でも気になるよ。それがルリみたいにかわいいコなら尚更。ネネちゃんがトシを誘わなければ、トシはルリを口説いていたと思う」
背後から覆い被さるようにしてケイゴが支えてくれているのをいいことに、私は首をのけぞらせて頭を彼の胸に預けた。
「でも、私が一番嬉しかったのはケイゴの言葉だよ」
上から私の顔を覗き込んできたケイゴはいつの間にか眼鏡を外していた。
優しい眼差しが私の視線を捕らえて放さない。
「トシには悪いけど、俺はルリが欲しい」