One Night Lovers
 この気持ちの正体は何なのだろう。

 恋にしては刹那的で、ちょっとした出来心にしては気持ちが重すぎる。

 だけど、ただ一つはっきり言えることは、ケイゴが私に大事なことを思い出させてくれたということだ。

 彼の指が器用に私の服の中に滑り込んできて、胸の膨らみを探り当てる。

 その敏感に尖った先端を触れるか触れないかのところで弄ぶ。

 頭の中には甘い痺れが走り、身体は更なる快感を求めて意志とは関係なく動いた。

 彼の指に素直に蕩けていく私の身体は悦びに悲鳴をあげる。

 そうだ、気持ちがいいことは、今ここにしかない。過去のことは思い出して悲しくなることもあるだろう。だけど、私はいつだって今のこのときを生きているのだ。

 大事なのは何よりも今、このとき、この瞬間なのだと、私は空っぽになりそうな頭で噛み締めるようにそれを思った。
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