One Night Lovers
 季節は秋から冬へと移行していく。

 街に赤と緑のクリスマス色が氾濫し始めると、いよいよドラマも佳境に入った。つまり、もうすぐ終わってしまうということだ。

 放映は終了しても録画を再生すればいつでもケイゴの姿を見ることはできる。それでも最終回が近づくにつれ残念な気持ちは大きくなっていった。

 そしてついに最終回の日を迎えた。

 肌に吹き付ける風が一段と冷たく感じるその日、私はシンジに誘われて開店したばかりのショッピングモールに足を運んでいた。

 ドラマが最終回なので本当は家に帰ってリアルタイムで観たいと思っていたが、「ドラマを観たいから」という理由でデートを断るのは悪い気がして、そわそわしながらもシンジに歩調を合わせる。

 真新しいショッピングモールは若者に人気のショップが並んでいて、仕事帰りの客でごった返していた。

 しかし端のほうにはまだ開店準備中だったり、完全に覆いをして内装工事を行っている場所もある。


「こっちは何かあるかな?」


 シンジに連れられて通路を曲がると、その先には工事中の店舗と関係者専用のドアしかなかった。

 引き返そうとした私の腕をシンジがグイと掴む。そのまま抱きすくめられ、キスされた。

 驚いて反射的にシンジの胸を突き飛ばす。


「こんなところで何するのっ!?」

「ごめん」


 シンジはたぶん人目のある場所でキスしたのが失敗だったと思っているだろうが、私が嫌だったのはそれだけじゃない。
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