神様のイジワル
*5



次の日の夕方、2人が出会った海へ行き、優心を呼び出した。



何分かして、優心が来た。


顔を見ると、目が赤く腫れ上がっていた。





優心も私と同じことを母に聞いたのだろう。




受け入れがたいが、真実だ。






私は意を決して、口を開いた。










「優心、あの――――」





言おうとして、口を止められた。





私の言いたいことが、わかっているのかな。







聞きたくない、と目をつむり、海の方向に歩いていった。










「ごめんな。弟で…」




前を向いたまま話す優心。



少しばかりか、声が震えていた。






それでも優心は話を続けた。











「もっと早くに知っておけば、思い残すことはなかったかもしれないのにな。」








私は優心のほうに向かってもう一度、決心して言った。









「優心!聞いて!やっぱり――」




「あーーーーーっ!!!」







急に叫んだかと思えば、海に向かって走り出した。






「くそっ!くそっ!!くそーっ!!なんで俺は紗那の弟なんだよ。なんでだよ。何で俺達はそんな運命を歩かなきゃいけねぇんだよ、俺は紗那がいねぇと生きていけねぇのに…っ!」








海の水をバシバシたたき続け、心に思っていたことをすべて吐き出していた。





そんな優心の姿を見て、私は膝から崩れ落ち、目からは涙をこぼし、声を出して泣き叫んだ。








お互い声にならない声で神様に訴えるように叫び続けた。




< 12 / 18 >

この作品をシェア

pagetop