神様のイジワル
*3(過去)



私が生まれて9ヶ月ほどして、本当の母親が家を出た。


その時私はすごく泣いていたらしい。



もう戻ってこない、と子供なりに確信していたのかもしれない。





その姿を見て、父は、この子を大切に育てなければ、と心に決めた。










それから半年ほど経って、父は再婚した。




父はこんな小さな私にはつらい話だろうから、と薬の力を借りて、記憶を操作し、この人が本当の母親だ、と認識させ、生みの親の存在を忘れさせた。





だから私は、今の今まで、ずーっと育ての親を本当の母だと思っていた。









だが、父が再婚してすぐ、1本の電話がかかってきた。








私の生みの親から…









今さらなんだ、と思い、父はとりあえず電話に出た。











『もしもし…?』


『………あなた…、どうしよう…』






妙に深刻で、父も今さら電話なんか!!…と怒鳴ろうとしたらしいが、さすがに口をつぐんだ。









『……何だ…?』





素っ気なく返す父に、本当の母は震えた声で話を続ける。











『……………赤ちゃん……できてるみたい……』


『は?なんでわざわざ俺に報告してんだよ。別に俺は関係ねぇじゃんか。』





単なるノロケか、そう思い電話を切ろうとした…










『違うの!!……違う…。あなたとの……子なの………』




< 7 / 18 >

この作品をシェア

pagetop