シブヤクーロン
「明日、智子を警察に連れて行く。」
「え‥」
「だから本当に申し訳ない。また家宅入るから移動してくれ。家も仕事も用意してあるから。」
安田は頭を上げない。
愛する人を警察に突き出す‥
愛してるからこそなんだろうか。
今、何を思っているだろう。
「‥逃げたいよ。でもおっさんはそれでいいの?」
依子がくちを開いた。
安田は一瞬驚いたが、黙ってまたいつかのように慌ただしく動き始めた。
どういう事かさっぱり分からないけど、今はあたしたちのためにしてくれてる安田に答えようと、必死に動揺を隠して荷物をまとめた。
この1ヶ月かなり派手だったあたしたち。
猛ダッシュで支度して、その間は自分たちの気持ち、安田の気持ちを考えるひまもなかった。
あっという間に車に乗せられ、ただぼげーっとした。