シブヤクーロン


 ごはんを食べ終わったら、あったかいお茶をもらってうとうとしてきた。
寝るわけにいかない。
さっきみたいにおっさんの腕まくらなんかで。




「飯食ったら…子どもみたいだな。」




ちゃんと横になれって、そんなこと言ってたと思う。
なんだか変な日だなあと思いながらも、休もうよっていう体には勝てなかった。


横になってすぐはっとすると、おっさんは何もしないであたしから離れる。
そしてあたたまった体が少し冷めると、意識は遠のいていった。




「おい、起きろって。」




うとうとと心地よい時間は、すぐに奪われた気がする。
家に帰ったよりがあたしをさがしに電話をしてきたらしい。

まだ3時じゃん。
こんな時間に起きれないよ。




「ずるい。ゆりだけ。」

「ごめん。なんかおっさんに連れ回された。」

「もしかしてあたしを迎えに来てくれないのは、いつもこんな時間まで?…」

「な、何言ってんの。何考えてるの?」





今日初めておっさんと過ごして、別になんにもなかったのに、なぜか焦って隠すように言った。
よりはぶーたれてる。
そりゃそうだよね、そうも思うよ。




「ごめん…」

「うっそー。あんなおっちゃんがあたしら相手にするわけないし、出来ないよね、あたしも。」




うんうんとうなずきながら、内心はらはらした。
片方だけイヤリングがないのを気づかれないように、こっそりもう片方を外した。













 
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