妄毒シチュー
自称天使の明るい声で我にかえった。
「は?何が丁度いいの?」
元カレから別れを切り出されるシーンを思い出していたなんて悟られたくなくて、あたしは平静を装いながら握りしめていた缶ビールを煽るように飲んだ。
「だってさ……」
綺麗な顔で微笑みながら立ち上がり、あたしの所まで歩いてくる。
「手っ取り早く恋の傷を癒すなら、正反対のタイプの男と付き合うのが一番だと思わない?」
彼はあたしが口にくわえていた缶ビールを奪い取り、軽く屈んであたしの顔を覗き込んだ。