天使のような笑顔で

apprehension

安以との電話から既に3日が経ち。


あれ以来、彼女とは連絡を取る事もせずに。

毎日バスケ部に顔を出していた。








「会わなくていいのかよ?桜庭さんと」


今は部活の休憩時間。

珍しく体育館に顔を見せた和也に呼び出され、俺達は生徒会室へと足を運んで来た。


いつもながら、他の役員の姿は無く。

和也だけが休日を返上していた。


「部活…忙しいからさ」


見え透いた嘘だけど、そう答えずにはいられなかった。

だって、会わない理由を他に見つけられないから。


「もうすぐ、ドイツに行っちゃうんだろ?」


10月の体育祭の資料に目を通していた和也は、呆れたように俺に視線を移してきた。


コイツの言いたい事は、十分過ぎるほど分かるんだけどさ。


眉間に皺を寄せたまま、俺も和也を見返す。

気まずい沈黙が…2人の間を通り過ぎて行った。
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