天使のような笑顔で
夏休みに入って、しばらくした頃。


バスケ部は大会を順調に勝ち進んでいき。

3年生である俺達は、おかげさまで引退の日がどんどんと延びていっていた。


ただ、大会を勝ち進むという事は。

その分練習をしなくちゃいけないという事で。


せっかくの夏休みも、部活漬けの毎日だった。












「なかなか一緒に出かけられなくて、ごめん」


電話越しに、俺は安以へと謝った。


カレカノと言いつつも、デートなんて数えるぐらいしかできなくて。

俺は、いつもこうやって安以に謝っている。


『仕方ないですよ、キャプテンなんですから』


そして、安以はこんな俺をいつも優しく許してくれる。


何とか、手首のケガも完治しつつあり。

キャプテンという責任もあって、ますます練習を休めなくなっていたから。


このまま全国大会まで行きたいと思いつつ。

心のどこかで、早く引退して安以と一緒にいたいって思う自分もいた。


こんなんじゃ、キャプテン失格だよな。
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