もっと溺愛以上
「え?」
「だって、俺んちと一緒だからな。父さんも母さんも、俺や竜我が側にいたって何も気にしないで、いちゃいちゃしてうっとおしい。お互いしか見えてないんだよな。
ほんと、健吾さんと柚さんもだけど、子供の手前、考えて欲しいよ、色々と」
嫌味に近い声で、敢えて父さんと母さんに聞かせるような有星に、父さんは動じることなく
「なら、お前も早く桜といちゃつけるように頑張れよ。
俺らだって、高校生の時からお互いを求めてたんだからな。
俺に遠慮はいらないぞ。桜が望むなら、俺は許す。
じゃなきゃ、お前を跡継ぎになんてしないしな」
「父さん?何言ってるの?私といちゃつくって……。
それに、それに……」
からかうように私を見つめる父さんと母さんは、二人そろって幸せそうだ。
私は、自分の有星に対する気持ちが二人にばれているのかと気になって、慌ててしまう。
有星を好きだという気持ちは、中学生の頃から自覚していたけれど、ずっと隠していたのに。
竜我も交えて三人で過ごしながら、ばれないように気を遣っていたのに。
そっと、有星を見ると、ちょうど私を見ていた彼の視線とぶつかった。
じっと、私を射る強い瞳に捕えられて、私もそのまま見つめ返した。
二歳も年下なのに。
いつの間にか大人っぽくなった有星。
父さんと母さんから愛されながらも、寂しさを抱えていた私の側に、いつもいてくれた有星。
そんな有星を好きになって、一緒にいたくてたまらなくて。
でも、長く一緒にい過ぎた私達の関係が、どういうものなのかわからなかった。
同じ高校に通い始めて、有星が、私以外の女の子と仲良くしている姿を見るのも苦しいし、何日か会えないだけでつらくなった。
それでも、新しい関係には、なかなか踏み出せなかった。
私の事を、どう思ってるの?って聞けなかった。