飼い犬に手を噛まれまして
いつもの席で、必要な備品のチェックをしながら昨日拾った犬のことを思い出した。
……ちゃんと出て行ったかな?
昨夜は、あのあと二人で彼の荷物を私の部屋に入れてプッチンプリンの片割れを彼に食べさせてあげた。
尻尾がはちきれそうなくらいの笑顔で、彼はそれを完食するとすぐに寝てしまった。
なんだか、少しだけ可愛い……なんて思ったんだ。
自分よりも、年下の若い男の子。頼りなくて彼女に捨てられちゃうような男の子。プッチンプリン一つで大喜びしちゃう男の子。
たまには非日常的なことをしてみるもんだな。と、自分で満足して私も眠りについた。
朝、いつもより早く目覚めてトーストを二枚焼いた。
彼は一向に目覚める気配もなく、「俺、今日午後から学校なんです……」とそのまま枕に顔をうずめて動かなくなったので、仕方なく合い鍵を置いてポストに投げ入れとくように手紙を書いておいた。