飼い犬に手を噛まれまして

「茅野、俺のプリンターのインクカートリッジの交換しといてくれないか?」


「ぐ、郡司先輩!?」



 拾い犬のこと考えてぼーっとしていたら、ハーフ美形の大人男子が私の顔を覗いていた。


「あはは、茅野リアクションでか過ぎだろ? 何、考えてたんだよ」


「……わ、えっとペットのことです。はい、すみません。仕事中に……」



 郡司先輩の綺麗な手が私の髪をクシャクシャと撫でた。

 顔が一瞬でぼっと燃え上がった。


「俺はオマエの上司じゃないし、注意なんかしないよ。インクよろしくな」


「は……はい!」



 すごい…………会話に無駄がなく、余裕の笑みで華やかに去る…………



 ああ、やっぱり素敵すぎます。郡司先輩!





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