飼い犬に手を噛まれまして
「忠告。紅巴はお人好しだから知らないと思って教えてあげる」
「忠告?」
和香は小さく頷いた。
「私は、郡司先輩と付き合える自信があるけど。正直、紅巴にはあの人は無理だと思う」
「どういう意味?」
それって私と郡司先輩が不釣り合いだってこと? だとすると、あんまりだ。いくら和香が綺麗で美人だからって失礼すぎる!
「外見の話じゃないよ。内面の問題」
和香は、私の考えを読んだように一方的に話す。
「郡司先輩の噂って聞いたことあるでしょ? 色んな女の人と付き合ってるって話。撮影で一緒になったモデルとか女優とかにも手を出す軽い男だって……紅巴だって聞いたことあるでしょ?」
私が小さく頷くと、和香は嬉しそうな顔をした。